はじめに
「松濤第一ビル」は渋谷区富ヶ谷2丁目にあり、山手通りに面しています(1)。東大駒場キャンパスの裏門に隣接していますが、キャンパス内は目黒区駒場であり、二つの区の境界あたりが建物の立地となります。

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壁の様子 例1
1.の(1)の←部分が(1)です。石材パネルは縦40cm×横40cmの大きさです。
黒色の大理石(名称は不明です🙇)が使われていてフズリナ化石がびっしりと含まれています。
1987年竣工との事で、風化や経年変化かと思われる部分など壁面や化石の見え方も色々でした。

(1)
(1)の→が(2)、↑が(3)、↑が(4)です。ところどころに目立つ大きさの物があり、内部構造まで透けて見えていますが、周りは1mm以下の小さな化石で埋めつくされています。(2)の3cm程の白い棒状の物はウニの棘や殻の破片でしょうか。

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(3)

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続いて、(1)の↑が(5)で、(5)の一部分を拡大した物が(6)です。断面の見え方にもよりますが、↑は短径6mm、長径10mmの楕円形の物で、その周りの物も含めて内部構造がよくわかり、結晶化しているのか、輝きもあります✨ (1)の↙が(7)です。

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フズリナについて
フズリナは古生代後期の代表的な示準化石で、有孔虫の仲間。石灰質の殻を持つ単細胞生物だったと考えられているそうです。体の一部を糸状に伸ばし、これを使って移動や固着、さらにはえさとなる有機物の捕獲も行っていたとのこと。(佐野市葛生化石館の解説より)
下は「佐野市葛生化石館」での展示や解説です。下段右端は、お土産に頂いた物です。
今回の石材の化石と同じ種類なのかはわかりませんが、断面の見え方が模型によりイメージしやすいかなと思います。

壁の様子 例2
壁の様子例に戻ります。
写真の石材パネルのつなぎ目の幅は縦も横も約2mmでしたので大きさの目安になればと思います。
(1)に挙げた場所は、元は黒色だったと思いますが、風化のためか表面の色が変わり、雨水で溶けたようなスジが見られる部分があります。また、フズリナ化石が浮き出たように見え、内部構造が立体的に見られます。
(a)を部分的に拡大した物が(b)です。(c)を拡大した物が(d)です。(d)は(a)の近くにあった長径約5mmの物です。
化石の輪郭も内部も白地に黒い線でわかりやすいです…🤫

(1)
(a)の→が(b)、→が(c)です。(b)と(c)の中央の大きな円形の物は直径1cm程です。
(a)でも水の流れの影響か縦にスジが見られます。

(2)
(a)を拡大した物が(b)です。(b)の←のように、大きめに見える物でも直径約7mmです。周りにも細かい化石がびっしりと詰まっている様子が見られます。石材パネルのつなぎ目の幅が約2mmです。

(3)
(4)~(10)は、上記(3)の(b)の物のように、壁面が白くなった部分で長径5mmほどの化石を接写した物です。
形も構造の線も私にはとても美しく感じられます✨

(4)

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(10)
下記(11)は黒色の割合の多い壁面の部分です。元の黒色部分の間に色が白く変化した部分もあり、化石の色や見え方も様々です。
石材パネルのつなぎ目の幅が約2mmです。

(11)
(12)~(15)も黒色が多めの部分で化石部分を接写した物です。フズリナは大きな物でも長径約5mmです。
(12)ではフズリナ1粒ずつの色が異なり、化石内部も複数色に👀

(12)

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(14)を拡大した物が(15)です。

(14)

(15)
壁の様子 例3
(1)の←を拡大した物が(2)で、貝の殻のような化石が見えています。(1)では、→のえぐれた部分にもフズリナが見られます。周りの石材は色も変化して様々ですが、沢山のフズリナで覆われています。

(1)

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(3)も別の場所の例です。(3)の←が(4)、←が(5)です。フズリナの形がかなり立体的に見られます。

(3)

(4)

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(6)は、壁面の変化により段差ができている部分です。(a)を拡大した物が(b)です。
段差や色々な面で、色々な見え方の化石が沢山です👀

(6)
壁の様子 例4
石材の美しい黒色は下記(1)のように見られます。場所はそれぞれ違いますがフズリナの見え方もやはり様々です🧐

(1)
黒色部分でも水のスジが見られる部分が(2)のようにあります。下段の(c)は(a)を拡大した物です。

(2)
上記(2)の(a)や(c)にも見られますが、下記(3)の(a)の白い部分はウニの殻や棘の破片でしょうか。
(3)の(b)~(d)に見られる物はウニの殻の断面と思われ、殻の中にもフズリナがびっしり!(e)はウニの棘かと思います。

(3)
(4)は、黒色の壁面部分で、フズリナ化石の断面が日光のもと輝いて見えた物です✨
結晶化して内部構造が透明になっている物がとても多いです👀

(4)
(5)~(10)は、特に輝きが綺麗だなあと思った物です。構造もわかりやすいです。

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おわりに
こちらの建物の石材では黒色の部分では美しい輝き、白くなっている部分ではフズリナの美しい構造の連なりがくっきりと見られ、前を通る度に感動しています。
𝕏にも(こちら)と(こちら)と(こちら)を以前ポストした事がありますが、壁面改修工事等が入っていた様子も見られ、場所は記しておりませんでした🙇
先日東大駒場キャンパスを訪問しこちらも拝見したところ、窓ガラスの目隠しラッピングもされていたのでレポを書かせていただいた次第です。
⚠️なお、テナントが教育系企業様ですので、ご配慮いただきますようお願い申し上げます🙇🙇
(写真画像から名称部分は消してあります)
「はじめに」にも書きましたが、こちらは東大駒場キャンパス 裏門の横、山手通りに面した場所となります。
すぐ近くに三田用水の暗渠遺構(下の写真)があり、この場を知ったのも暗渠巡りの途中で…でした🚶

先日は駒場キャンパス内で街化石探し(n回目😆)や駒場博物館訪問もしましたので、次回(こちら)へ続けたいと思います🏃
今回も最後まで見ていただきありがとうございます🙇
今回の記事の𝕏でのポストは(こちら)です。


